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死神の精度 伊坂幸太郎 (著)

小説の書き出しが難しい 「旅路を死神 伊坂幸太郎」
- 2019/08/30
- 21:21
書き出しがうまく決まらないで悩んでしまう。
人気のある小説は引き込まれていくような書き出しに憧れるが
いつか自分もそんな引き込まれるような小説を書けるようになりたいと思い、私が気に入った小説の書き出しをここに残しています。

死神の精度 伊坂幸太郎 (著)

なだらかな起伏のある国道六号は、車が詰まりはじめていた。片側一車線のため、軽のトラックが一台いると、それだけでてきめんに渋滞となる。前方のワゴン車がたびたびブレーキを踏み、私は先ほどから、ギアを上げたり下げたりを繰り返していたが、とうとう止まった。雨がフロントガラスに垂れ、模様を作っている。午後の六時ともなると周囲もずいぶん暗かった。
「なあ、あんた、何なんだよ。平気な顔しやがって」助手席の若者が言った。左側の窓に頭をつけていたので、てっきり眠っているのかと思った。黒い髪は耳にかかるくらいで、細く吊り上がった目は爬虫類に近い。
「起きていたのか」
一日前に東京の繁華街で、人を殺してきた森岡は、不気味なものでも見るように、私の顔を覗いた。「俺は人殺しなんだっての。信じてねえのかよ?ラジオで聞いただろ」
「なあ、あんた、何なんだよ。平気な顔しやがって」助手席の若者が言った。左側の窓に頭をつけていたので、てっきり眠っているのかと思った。黒い髪は耳にかかるくらいで、細く吊り上がった目は爬虫類に近い。
「起きていたのか」
一日前に東京の繁華街で、人を殺してきた森岡は、不気味なものでも見るように、私の顔を覗いた。「俺は人殺しなんだっての。信じてねえのかよ?ラジオで聞いただろ」
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