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小説を読もう「13階段 高野和明」の言葉表現
- 2019/08/01
- 18:15
小説が好きで、気になった表現をの仕方まとめただけの資料です。
それからしばらくの間、声を発する者はいなかった。波の音だけがかすかに聞こえていた。
やがて、視線を落としていた南郷が、「お気の毒でした」と言った。
やがて、視線を落としていた南郷が、「お気の毒でした」と言った。
「それだけじゃないが、もちろん大きな原因ではあるな。離婚はしたくない。女房のことを考えると、あいつは俺のそばにいるのが自然のような気がするんだ」南郷は、目の隅に純一の微笑をとらえ、慌ててつけ足した。「好きだの惚れたのって話じゃなくてな。子供も巻きこんで、ずっと一緒に暮らしてきたからな」
南郷は、取っ手を掴み、床板を引き上げた。舞い上がった埃が、懐中電灯の光の束を浮き上がらせた。
「ちょっと待って下さい」と杉浦が止めた。「その前に私から申し上げたいことが」
「何です?」
杉浦の目は、言い出しにくいことを切り出そうとしているかのように、南郷と純一の顔を往復していた。「ちょっと問題が持ち上がりまして」
「何です?」
杉浦の目は、言い出しにくいことを切り出そうとしているかのように、南郷と純一の顔を往復していた。「ちょっと問題が持ち上がりまして」
南郷は、苛立った口調になった。頬のあたりの筋肉が、心の奥底の憎悪を押し殺そうとするかのように硬く緊張している。
純一は、南郷の瞳の中に辛い過去を見た。
前夜の豪雨が梅雨前線の別れの挨拶だったらしく、翌朝の房総半島は快晴に恵まれた。純一と南郷は、陽光を浴びながらシビックに乗り込んだ。
そこは純一が考えていたとおり、古びた雑居ビルだった。がたがたと震動するエレベーターを使って五階に上がり、磨りガラスのはめ込まれたドアをノックした。
「樹原君の印象は、どんなでした?」
「正直言って、内向的な感じでしたね」
安藤は、当時を思い出すかのように視線を上げた。
「正直言って、内向的な感じでしたね」
安藤は、当時を思い出すかのように視線を上げた。
話を聞いた中森は、当時の情報を思いだそうとするように視線を宙に向けた。
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