読書を趣味に ≫ 小杉健治さんのおすすめ小説 ≫ 「疑惑 裁判員裁判 小杉健治」おすすめ小説を読もう
好きな小説
おすすめ度 ★★★★
弁護士の鶴見京介が東京地裁の小会議室にかけ込むと、すでに裁判官をはじめ、郷田検事が来ていた。
「すみません。遅くなりました」
京介は恐縮して詫びる。
「まだ、一分ありますよ」
裁判官が穏やかな声で言った。
京介は郷田に会釈をして椅子を引いた。裁判長とふたりの陪席裁判官は向かい側、その隣に裁判所書記官がいた。
法廷では相対(あいたい)して向かい合う検察官の郷田検事と並んで座っていることが、少し居心地の悪い気がした。

疑惑 裁判員(小杉健治)
「疑惑 裁判員裁判 小杉健治」おすすめ小説を読もう
- 2019/07/20
- 20:12
好きな小説
疑惑 裁判員裁判(小杉健治)
おすすめ度 ★★★★
被告人は保窪耕平52歳
保険金詐欺目的で妻を殺した容疑がかかっていた。
保窪は、前妻の死亡時にも保険金を受け取り、疑われた過去があった。その時ワイドショーなどで大きく取り上げられていた。
弁護士の鶴見は、過去の事件の先入観を裁判員たちが持ってしまうことを恐れた。
裁判がすすむにつれ、鶴見は保窪が何かを隠していると感じた。
一方、裁判員になった鳴沢だが、
熊本に住む友人に会いに行き水前寺公園などを案内してもらった。その時幼少の頃に、ここ熊本に来た記憶がぼんやりとよみがえってきた。
鳴沢は、その時に父親が一緒だったかもしれない、それを調べようと思った。
母親は未婚で鳴沢を産んでいたので、鳴沢は父親を知らない。
母親も鳴沢が幼少のころに亡くなっていた。
祖父母も父親については口を閉ざした。
父親には別に妻子があり母親とは不倫関係だったのではないか、そんなふうにも疑った。
鳴沢は父親について調べはじめた時に保窪耕平の裁判の裁判員となったのだ。
鳴沢は裁判所で被告人の保窪と目を合わせた時、被告人の自分の顔を見て驚いた様子が気になった。
保険金詐欺目的で妻を殺した容疑がかかっていた。
保窪は、前妻の死亡時にも保険金を受け取り、疑われた過去があった。その時ワイドショーなどで大きく取り上げられていた。
弁護士の鶴見は、過去の事件の先入観を裁判員たちが持ってしまうことを恐れた。
裁判がすすむにつれ、鶴見は保窪が何かを隠していると感じた。
一方、裁判員になった鳴沢だが、
熊本に住む友人に会いに行き水前寺公園などを案内してもらった。その時幼少の頃に、ここ熊本に来た記憶がぼんやりとよみがえってきた。
鳴沢は、その時に父親が一緒だったかもしれない、それを調べようと思った。
母親は未婚で鳴沢を産んでいたので、鳴沢は父親を知らない。
母親も鳴沢が幼少のころに亡くなっていた。
祖父母も父親については口を閉ざした。
父親には別に妻子があり母親とは不倫関係だったのではないか、そんなふうにも疑った。
鳴沢は父親について調べはじめた時に保窪耕平の裁判の裁判員となったのだ。
鳴沢は裁判所で被告人の保窪と目を合わせた時、被告人の自分の顔を見て驚いた様子が気になった。
小杉健治さんの本は、これまでに
「父からの手紙」と
「絆」を読みました。
この
「疑惑 裁判員裁判」も
「父からの手紙」や
「絆」と似ているところはあります。
私は小杉健治さんの作品のなかで裁判のシーン大好きで引き込まれますが、この
「疑惑 裁判員裁判」も鶴見弁護士の尋問シーンがよかったです。
それから、これは裁判員裁判ということで裁判員の性格がそれぞれに違うので、その話し合いのシーンも面白かったです。
疑惑が、裁判がすすむにつれ、少しずつ見えてくる。これが小杉健治作品の魅力です。
この
私は小杉健治さんの作品のなかで裁判のシーン大好きで引き込まれますが、この
それから、これは裁判員裁判ということで裁判員の性格がそれぞれに違うので、その話し合いのシーンも面白かったです。
疑惑が、裁判がすすむにつれ、少しずつ見えてくる。これが小杉健治作品の魅力です。
書き出し
弁護士の鶴見京介が東京地裁の小会議室にかけ込むと、すでに裁判官をはじめ、郷田検事が来ていた。
「すみません。遅くなりました」
京介は恐縮して詫びる。
「まだ、一分ありますよ」
裁判官が穏やかな声で言った。
京介は郷田に会釈をして椅子を引いた。裁判長とふたりの陪席裁判官は向かい側、その隣に裁判所書記官がいた。
法廷では相対(あいたい)して向かい合う検察官の郷田検事と並んで座っていることが、少し居心地の悪い気がした。
「それでは被告人質問を行いますので、被告人は前へ」
裁判長の重々しい声が響くと、裁判員たちは居住まいを正した。
ちょっと肩をぴくりとしてから、被告人は立ち上がった。そして大きく息を吐き出した。
裁判長の重々しい声が響くと、裁判員たちは居住まいを正した。
ちょっと肩をぴくりとしてから、被告人は立ち上がった。そして大きく息を吐き出した。
被告人質問が始まる緊張感が伝わってくる
言葉を発するまで少しの間があったのは、逸(はや)る気持ちを鎮めているようにも思えた。
軽く咳払いをしてから、検察官は口を開いた
軽く咳払いをしてから、検察官は口を開いた

- 関連記事
-
-
宿命 小杉健治 おすすめ小説 2020/11/07
-
二重裁判 小杉健治 おすすめ小説 2020/11/07
-
覚悟 小杉健治 おすすめ小説 2020/10/11
-
小杉健治さんの「共犯者 検事・沢木正夫」 2019/09/28
-
「父と子の旅路 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/09/25
-
小杉健治 おすすめ小説 2019/09/23
-
「声なき叫び 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/09/08
-
「残り火 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/08/18
-
小杉健治さんの「生還」 2019/08/16
-
「失踪 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/08/15
-
小杉健治さんの「罪なき子」 2019/08/14
-
「最期 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/08/02
-
「疑惑 裁判員裁判 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/07/20
-
「絆 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/07/05
-
「父からの手紙 小杉健治」おすすめ小説を読もう 2019/06/28
-
- テーマ:本の紹介
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:小杉健治さんのおすすめ小説
- CM:0
- TB:0