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好きな小説
おすすめ度 ★★★★

絆 小杉健治

開廷時間まで、すこし間があった。
私は地域の記者クラブから法廷にむかった。法廷前の廊下には廷吏の姿しかなかった。傍聴人はすでに入廷したようだった。
傍聴席の扉をおした。法廷に入ると、まっさきに被告人席に目をやった。この裁判の主役である被告人は、まだ姿をあらわしていなかった。
傍聴席の右半分の最前列と二列目まで、腕章をまいた新聞記者が占めている。私は最前列のあいている席に腰をおろした。
「絆 小杉健治」おすすめ小説を読もう
- 2019/07/05
- 16:07
好きな小説
絆 小杉健治
おすすめ度 ★★★★

夫の殺害を認めている被告人弓丘奈緒子。
しかし、被告人が認めているにも関わらず、原島弁護士だけが奈緒子の無罪を主張する。
原島弁護士は何故、無罪だと主張するのか?
裁判がすすむにつれて、その真実があきらかになる。
しかし、被告人が認めているにも関わらず、原島弁護士だけが奈緒子の無罪を主張する。
原島弁護士は何故、無罪だと主張するのか?
裁判がすすむにつれて、その真実があきらかになる。
ストーリーのほとんどが裁判所のシーンです。
弁護士、検事、証人の尋問、証言が多かったですが、それだけで引き込まれる読みやすく引き込まれる内容です。
弁護士、検事、証人の尋問、証言が多かったですが、それだけで引き込まれる読みやすく引き込まれる内容です。
ストーリーは、この裁判を取材する記者の「私」の視点で進んでいきます。
そしてこの記者「私」にとって、この弓丘奈緒子の裁判は特別なものでした。
奈緒子と「私」は子供の頃、同じ町に住んでおり、奈緒子は「私」が子供の頃に憧れていた女性だったからである。
そして奈緒子には二人の弟がいて「私」は上の弟寛吉に命を助けてもらったことがあった。
傍聴席には下の弟晴彦の姿はあったが、寛吉の姿はなかった。裁判が始まる前に、晴彦から寛吉は亡くなったと知らされる。
「私」は学生の頃、セーラー服姿の奈緒子を見てときめいたことや、寛吉と遊んだ頃を思い出していた。
そしてこの記者「私」にとって、この弓丘奈緒子の裁判は特別なものでした。
奈緒子と「私」は子供の頃、同じ町に住んでおり、奈緒子は「私」が子供の頃に憧れていた女性だったからである。
そして奈緒子には二人の弟がいて「私」は上の弟寛吉に命を助けてもらったことがあった。
傍聴席には下の弟晴彦の姿はあったが、寛吉の姿はなかった。裁判が始まる前に、晴彦から寛吉は亡くなったと知らされる。
「私」は学生の頃、セーラー服姿の奈緒子を見てときめいたことや、寛吉と遊んだ頃を思い出していた。
原島弁護士の尋問のシーンが良かった。
前半は、検察側の証人への反対尋問で、これまでの事をくつがえし、後半は証人尋問に入り真実へと近付けていく。
真実が見えてきた時の原島弁護士の迫力に、涙してしまいそうになりました。
前半は、検察側の証人への反対尋問で、これまでの事をくつがえし、後半は証人尋問に入り真実へと近付けていく。
真実が見えてきた時の原島弁護士の迫力に、涙してしまいそうになりました。
書き出し
開廷時間まで、すこし間があった。
私は地域の記者クラブから法廷にむかった。法廷前の廊下には廷吏の姿しかなかった。傍聴人はすでに入廷したようだった。
傍聴席の扉をおした。法廷に入ると、まっさきに被告人席に目をやった。この裁判の主役である被告人は、まだ姿をあらわしていなかった。
傍聴席の右半分の最前列と二列目まで、腕章をまいた新聞記者が占めている。私は最前列のあいている席に腰をおろした。
金沢検事は、四十四歳になったばかりである。眼鏡の奥に切れ長の細い目がある。自信というものが、彼の全体をつつみこんでいるようであった。
やり手の検事だと想像できる
検察官のおちついた笑顔にひきかえ、弁護人席の原島は腕組みをし目を閉じ、じっとしていた。濃い眉をよせた表情から苦悶の色は隠せなかった。
金沢検事が言葉をとめると、廷内は一瞬にして静寂におそわれる。検事の陳述書をめくる音がきこえた。
静寂さがめくる音でリアルに感じる。
傍聴席はしんとしていた。だれかの軽い咳払いがやけに大きくひひいた。
しんとした様子が伝わる
「悲鳴を聞いたというのですか?」
原島弁護士は眉をぴくりと動かして言った。
「はい。それで……」
望月は声を呑んだ。
「てっきり、家族に殺され、床下に埋められたと思ったのですね?」
原島弁護士は眉をぴくりと動かして言った。
「はい。それで……」
望月は声を呑んだ。
「てっきり、家族に殺され、床下に埋められたと思ったのですね?」
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