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雨の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
- 2020/03/15
- 20:01

オフィスの窓から見える高い空の遠くに、黒いカーテンのような雨雲が垂れ下がったかと思うと、ざっと雨が降り出し、みるみる、辺りが暗くなった。山崎豊子さんの沈まぬ太陽より
二人の子供の名を呼んだが、子供たちも激しい雨脚の中で、もはや振り返らなかった。飛沫で白く煙る中を、妻と子の姿が、次第に遠ざかって行く。山崎豊子さんの沈まぬ太陽より
パトカーと消防車、救急車の赤色灯が、雨でモノクロになった夜景を血の色に染め上げる。堂場瞬一さんの讐雨より
車のフロントガラスに雨滴がぶつかっては潰れ、ワイパーを動かす速度を上げるとガラスが甲高い音を立てて鳴き始める。中途半端だ。もっと激しく降るか、きっちり止んでくれればいいのに。堂場瞬一さんの讐雨より
そろそろ日付の変わる時刻になろうとしているし、篠突く雨を嫌って外出している者も少ない。中山七里さんの贖罪の奏鳴曲(ソナタ)より
建物の外は相変わらすの土砂降りだった。夜目でも空から降り注ぐ銀色の槍が見える。中山七里さんの贖罪の奏鳴曲(ソナタ)より
鉄のような、砂のような独特の匂い。壁に背をつけて座っていた充は、背後の掃き出し窓を覗き見た。
乾いたコンクリートに浮かんだ小さな黒点が、徐々に数を増していく。雨がきた。沢木冬吾さんの償いの椅子より
今日も雨だ。サンデッキから見下ろす街は、薄い灰色に煙っている。霞の向こうに辛うじて駅舎が見えるだけで、風景からは色が消えていた。堂場瞬一さんの被弾より
強くなってきた雨が、カメラのフラッシュの中で細い糸のように浮かび上がる。堂場瞬一さんの被弾より
霧のような雨が靴を濡らしたが、今夜ばかりは気にもならなかった。堂場瞬一さんの被弾より
霧のような雨が、私たちにまとわりついた。堂場瞬一さんの雪虫より
街灯に白く照らし出された雨が、無数の針のように、川面に、私に突き刺さる。堂場瞬一さんの雪虫より
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