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冬の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
- 2020/03/15
- 20:06

師走の風がビルの間を音をたてて吹き抜け、街路樹の落葉が足元を、かさかさと舞って行く。山崎豊子さんの沈まぬ太陽より
サンダルを突っかけて表に出る。息が白く凍る。有川浩さんの塩の街より
尖った寒気が鼻腔を突き刺した。中山七里さんのヒートアップより
雪の降り方はますます激しくなってきた。東京の道路には珍しく、路肩はすっかり積雪で覆われた。さすがに車線はアスファルトが顔を覗かせているが、表面はきらきらと乱反射しているところを見ると、部分部分で凍結しているようだ。中山七里さんのヒートアップより
時折思い出したように風が起こり、冬枯れた木立の間を駆け抜ける。やってきては引いていく、葉ずれの波。沢木冬吾さんの償いの椅子より
三月に入ったとはいえ、まだ風はかなり冷たい。マフラーに顎を埋めるようにして歩き出した。東野圭吾さんの容疑者Xの献身より
彼は両手をポケットに突っ込み、身体をやや前屈みにして足を送りだした。東野圭吾さんの容疑者Xの献身より
ため息をつくと、白くなった息が目の前に広がった。垣谷美雨さんの七十歳死亡法案、可決より
バスを降りると、木枯らしが吹いていた。街路樹の根元に落ち葉が小さな吹き溜まりを作り、バレリーナのようにくるくると華麗に舞っている。垣谷美雨さんの夫の墓には入りませんより
空を見上げる。街灯の光の中で、大きな雪の粒が乱舞していた。雪の照り返しを受けて、心なしか街灯が明るくなっているように思えた。堂場瞬一さんの雪虫より
低い重い雲の下。冬枯れた木立の中に、ふたりの吐く白い息が流れる。沢木冬吾さんのライオンの冬より
駅を出ると、途端に寒風に襲いかかられ、全身が固まった。堂場瞬一さんのバビロンの秘文字より
頭を締めつけるような寒気が街を覆っていた。空は鈍色に曇っていた。荒は自分の肩を抱きながら、とりあえず駅舎に入った。雫井脩介の虚貌より
スマホで店を検索しようと立ち止まり、凍えた両手に息を吐く。呼吸は白く、煙のようだ。上手くいかない指先の操作に、比奈子は手をこすり合わせて空を仰いだ。内藤了さんの「LAEKリーク」より
北風が目に滲みて、瞬いた目が涙で潤んだ。星のきれいなこんな夜は、放射冷却のせいで冷え込みが厳しい。内藤了さんの「LAEKリーク」より
少し土の匂いのする冬めいた風が吹いていた。街路樹の落ち葉がかさかさと音を立てて、二人の足元を転がりながらすり抜けていく。森沢明夫さんの大事なことほど小声でささやくより
雪はすっかり上がっており、名残は道路の端が薄らと白くなっていることだけだ。夜空は高く晴れ上がっており、冷たく凍りついた空気が肌を突き刺す。吐く息が白い塊になって顔の周りを漂ったが、夕方の天気予報で「明日は三月並みに暖かくなる」と言っていたのを思い出す。堂場瞬一さんの「チーム」より
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