読書を趣味に ≫ 悲しみ、苦痛の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
胸がきゅんと寂しい音を立てた
- 2022/11/23
- 20:57

「行ってしもうたなあ」 誰かが言うと、「来なさるときゃ、まだか、まだか、ちゅうて、そわそわして待っとったもんやけんど、帰っていきなさるときゃ、なんともあっけねえもんばい」 別の誰かが応えた。 その言葉に、高市の胸がきゅんと寂しい音を立てた。原田マハさんのリーチ先生...
目の中に揺らいでいたかすかな灯火が、ふっと消え失せた
- 2022/07/18
- 19:59
泥のように重たい後悔に
- 2022/01/16
- 08:45

泥のように重たい後悔に、いままでずっととらわれていた。けれど、この場所でのさまざまな人びととの出会いが、清水となって少しずつ泥を洗い流してくれた。原田マハさんのまぐだら屋のマリアより...
涙目になって、ぽっちゃりとした頬を両手に埋めた
- 2022/01/07
- 21:48
ざらりとした無精髭の感触と、浮いた脂が掌に付着する手応えがあった
- 2021/12/04
- 16:12
智彦は暗い目をしていた。一瞬唇が、まるで笑みでも浮かべるように曲がった
- 2021/10/10
- 16:50

智彦は暗い目をしていた。一瞬唇が、まるで笑みでも浮かべるように曲がった。皮肉な笑いか、それとも自嘲したのか。その表情のまま、ふらりと立ち上がった。そして歩きだす。東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより...
痩せ細った心で瑞穂は思った
- 2021/08/06
- 11:30

「千恵子、元気でね。私も私なりに頑張るから」 千恵子は送りに出なかった。 別々の道を歩き始めた。もう会えなくなるかもしれない。決別……。やはり今年の春は苦すぎると、痩せ細った心で瑞穂は思った。横山秀夫さんの顔(FACE)より...
薄暗い感情が蠢(うごめ)いている
- 2021/08/03
- 18:46

以前は壁一面に似顔絵があって賑やかだった。すべて剥がした。画材もスケッチブックも、今はベッドの下に眠っている。 傷口は開いたままだった。その内部はじくじくと膿んで、薄暗い感情が蠢(うごめ)いている。横山秀夫さんの顔(FACE)より...
ふたつの影の片方が、枯れかけたひまわりのように、うなだれた
- 2021/06/13
- 07:32
前歯で唇を噛みしめると、悲しいえくぼが頬にうがたれた
- 2021/03/29
- 21:50
みち子の瞳はしおたれるように悲しくなった
- 2021/03/28
- 21:14
清音の笑顔が一瞬、泣き出す寸前のようにやわらかく歪むのを見た気がした
- 2021/03/05
- 16:01

電車がゆっくりと動き出す。清音の笑顔が一瞬、泣き出す寸前のようにやわらかく歪むのを見た気がした。 車窓は明るいひと続きの風になって、線路の彼方へと消えていった。原田マハさんのキネマの神様より...
知らず知らず膨らんでいた期待が、あっというまに萎んでいく
- 2020/12/08
- 09:00
彼女を包む優雅な気配は、日が沈むようにゆっくりと翳りを見せ始めていた
- 2020/12/07
- 09:00

薫は顎を引き、綾音の様子を見つめた。美貌の容疑者は、目を伏せ、唇を結んだ。まだかすかに笑みを残してはいたが、彼女を包む優雅な気配は、日が沈むようにゆっくりと翳りを見せ始めていた。東野圭吾さんの聖女の救済より...