○○のおかげで人生が一段と楽しくなった ≫ 記憶の表現をおすすめ小説から学ぶ
記憶のクローゼットの扉を開きます
- 2021/01/04
- 06:39

暗い部屋の行灯のもとで手紙をしたためながら、私は記憶のクローゼットの扉を開きます。お気に入りの引き出しを開けると、そこから匂い立つのは、咲き誇るアゼレアの花。原田マハさんの奇跡の人より...
克子の言葉が繰り返し鼓膜の奥に蘇る
- 2020/12/16
- 21:00
一輝の記憶の泉に、勢いよく小石が投げ込まれた。妖しい波紋が、一輝の中に一気に広がった
- 2020/12/16
- 15:00
その小骨のような記憶が、ぽろりと思考の中に落ちた
- 2020/12/07
- 09:00

湯川の話を聞き、草薙の脳裏に何かが引っかかった。思い出せそうで思い出せない何か、知っているのに知っていること自体を忘れている何か、だ。 その小骨のような記憶が、ぽろりと思考の中に落ちた。草薙は息を呑み、湯川の顔を見つめていた。東野圭吾さんの聖女の救済より...
記憶の引き出しにしまったはずの映像が、また網膜に、蘇ってきたのだ
- 2020/11/23
- 21:00
記憶に定着しないまま、蒸発するように消え去っていた
- 2020/10/03
- 18:00
白く靄のかかった記憶が、弱々しく形を作り始めた
- 2020/09/26
- 15:00

「あんた、誰」「私だよ、わたし」老人は自分の鼻の頭を指した。「この家の裏に住んでるイモト。昔よくあんたから、イモのおじさんって呼ばれたよ」「イモのおじさん……」 伯朗の白く靄のかかった記憶が、弱々しく形を作り始めた。東野圭吾さんの危険なビーナス...
子供の頃に作ったカサブタがまだしっかりと残っている
- 2020/07/01
- 08:00

彼らの言葉はまやかしや脅しではなく、本当だったのだ。心の中には、子供の頃に作ったカサブタがまだしっかりと残っている。無理に剥がそうとすると、血が出そうだ。小川糸さんのつるかめ助産院より...
思い浮かぶ限りの作り話で、油絵の具を塗りたくるように、塗り潰して
- 2020/06/10
- 08:00

記憶を誤魔化す時の表現 一歩進むだけで満身創痍で、あまりの過酷さゆえに、振り返ってもその道の記憶はほとんどなく、仕方なく、思い浮かぶ限りの作り話で、油絵の具を塗りたくるように、塗り潰して、誤魔化しているのではないか。伊坂幸太郎さんのバイバイ、ブラックバードより...
写真を現像するようにじっくり時間をかけて甦ってくる
- 2020/06/04
- 08:00

だんだん記憶が甦る表現 だんだん、忘れかけていたふるさとの地図が、写真を現像するようにじっくり時間をかけて甦ってくる。頭の中にある昔の地図のその上に、新しく建った家や新しくできたお店を追加する。小川糸さんの食堂かたつむりより...
色鉛筆で描いた風景画を上から消ゴムで消したみたいに、全体的に白っぽく色褪せていた
- 2020/06/04
- 08:00

久々に帰ってきて見る寂れた故郷の風景の表現 すっかり寂れた駅前のロータリーで深夜高速バスから降りる。 家を出たのがつい昨日のことだったような気がしそうなほど、風景は少しも変わっていない。ただ色彩だけが、色鉛筆で描いた風景画を上から消ゴムで消したみたいに、全体的に白っぽく色褪せていた。小川糸さんの食堂かたつむりより...
頭の中をちらちらと行ったり来たりして離れなかった。
- 2020/06/04
- 08:00

忘れられない思い出の表現 ぬか床の壺をかき混ぜる祖母の、青い血管の浮き出た真っ白い手。必死ですり鉢をすっている、丸く小さな背中。味見の時、手のひらにちょこんとのせて口に含むかわいい横顔。 そういう記憶が、いつも私の頭の中をちらちらと行ったり来たりして離れなかった。小川糸さんの食堂かたつむりより...
祖母と過ごした日向ぼっこのような毎日が、ふわふわと泡のように甦った
- 2020/06/04
- 08:00

のんびり幸せな頃の記憶の表現 私は一晩中ドーナツを食べ続けた。生地の中にケシの実を入れ、シナモンと黒砂糖をまぶした優しい味を、私は一生忘れないだろう。 胡麻油でふんわり揚げた一口サイズのそれを口に入れて頬張るたび、祖母と過ごした日向ぼっこのような毎日が、ふわふわと泡のように甦った。小川糸さんの食堂かたつむりより...
木枯らしに舞う枯れ葉のように脳裏を駆け巡った
- 2020/06/03
- 08:00
心の中でメモを取る
- 2020/05/26
- 08:00

忘れないようにする表現 そうか、後ろだった。確かに中華街の旧正月って、年が明けた後にやってきた気がする。今月のお菓子を追いかけるだけで精一杯の私は、心の中でメモを取る。坂木司の和菓子のアンより...