○○のおかげで人生が一段と楽しくなった ≫ 室内の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
絶妙なバランスでオブジェのように積み重なっている
- 2021/03/04
- 22:26

データ化なんて技術のない時代から十七年間蓄積された書類は、絶妙なバランスでオブジェのように積み重なっている。そのすべてを翌日までにシュレッダーにかけなければならなかった。原田マハさんのキネマの神様より...
しみだらけの天井から下がっている蛍光灯。古い箪笥がひとつ
- 2021/03/04
- 20:45

座椅子の前に古ぼけた卓袱台がある。卓袱台の向こう側にはカラーボックスが横置きにしてあり、その上にテレビが鎮座している。横にはDVDプレイヤーと、山と積まれたDVDケース。 しみだらけの天井から下がっている蛍光灯。古い箪笥がひとつ。引き出しに貼ってあるミッキーマウスのシールは、子供の頃の私の仕業だ。花柄の布が被せてある母のミシン。原田マハさんのキネマの神様より...
白いタイルのくすみ具合も、いくらか波打った床も
- 2021/02/15
- 15:38
愛想のない廊下が続く
- 2021/02/15
- 12:03
店屋物の器がどの部屋の前にも堆(うずたか)く積まれた廊下を歩き
- 2021/01/29
- 06:26

店屋物の器がどの部屋の前にも堆(うずたか)く積まれた廊下を歩き、事務所のインターホンを押すと、ドアの上に取り付けられた監視カメラに向かって吾郎は笑いかけた。浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より...
広い待合室の天井は高く、飴色の太い梁が何本も渡されていて
- 2021/01/28
- 20:28

幌舞駅は大正時代に造られたままの、立派な造作である。広い待合室の天井は高く、飴色の太い梁が何本も渡されていて、三角の天窓にはロマンチックなステンドグラスまで嵌まっていた。浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より...
四畳半と六畳の二間に小さい台所のついた、昔ながらの家作である
- 2021/01/07
- 18:32

差し入る冬の日に導かれるように、海老沢は縁側から上がりこんだ。四畳半と六畳の二間に小さい台所のついた、昔ながらの家作である。家具も調度品も、老人が生きて行くために不必要なものは何もなかった。茶箪笥と旧式テレビ。小さな座卓。それだけである。浅田次郎さんの日輪の遺産より...
非常灯の緑色の光だけが、磨き上げられた廊下を冷たく照らし出していた
- 2020/12/29
- 22:51

自動ドアをむりやりこじ開けて、二人は生暖かい病棟に入った。灯はすっかり消えており、非常灯の緑色の光だけが、磨き上げられた廊下を冷たく照らし出していた。 こだまする靴音に気がねしながら長い廊下を折れ曲がると、待合室に出た。浅田次郎さんの日輪の遺産より...
その台所を中心に、奥には母が寝起きする六畳間、右手には人生がろう城する四畳半、左手には申し訳程度の洗面所と風呂とトイレがある
- 2020/12/07
- 21:00

狭い台所には食器棚と冷蔵庫、カップ麺やスナック菓子が詰めこまれた段ボールが積み上げられ、人ひとりが立っているのがやっと、というようなありさまだ。その台所を中心に、奥には母が寝起きする六畳間、右手には人生がろう城する四畳半、左手には申し訳程度の洗面所と風呂とトイレがある。築年数不明のぼろアパートの一室だ。原田マハさんの生きるぼくらより...
積み上げられたDVDケース、空になったカップ麺の容器、スナック菓子の空き袋、丸めたティッシュ、脱ぎっぱなしの靴下
- 2020/12/07
- 21:00

積み上げられたDVDケース、空になったカップ麺の容器、スナック菓子の空き袋、丸めたティッシュ、脱ぎっぱなしの靴下、この世の中でもっとも無価値で役に立たないものの累積の中に、敷きっぱなしの布団。原田マハさんの生きるぼくらより...
部屋は眠れぬ街の虹色に染まっていた
- 2020/10/18
- 09:00
巨大なテーブルはクリーム色の大理石で、レースのクロスの上にクリスタル製の灰皿と煙草ケースが載っている
- 2020/09/20
- 21:00

巨大なテーブルはクリーム色の大理石で、レースのクロスの上にクリスタル製の灰皿と煙草ケースが載っている。壁に掛かっている風景画は、きっと高名な画家の手によるものだろう。棚に飾られている壺や茶碗には、手を触れないほうがよさそうだ。東野圭吾さんの危険なビーナス...
カーテンのレールに仕切られて、見える範囲はそれだけだ
- 2020/08/22
- 12:00

病室のベッドで横になっている表現 由紀が観念して眼を開ける。顔の前に何ひとつはばかるものはない。白いペンキで塗られた天井が上の方にあった。碁盤目に木枠が走り、窓際寄りに薄茶の染みができている。その形がどこか蓮の花に似ていた。カーテンのレールに仕切られて、見える範囲はそれだけだ。帚木蓬生さんの閉鎖病棟より...
革張りの茶色のソファがコの字に並んでいた。中央には、人力では到底動かせそうにない大理石の巨大なテープルが置かれていた
- 2020/07/13
- 08:00

屋敷のリビングの表現 僕は四十畳ぐらいありそうなリビングルームに通された。革張りの茶色のソファがコの字に並んでいた。中央には、人力では到底動かせそうにない大理石の巨大なテープルが置かれていた。彼女に勧められるまま、僕は三人掛けソファの真ん中に腰を下ろした。東野圭吾さんの夜明けの街でより...
門から玄関までのアプローチは長く、玄関のドアは大きく、ドアの向こうのエントランスは広かった
- 2020/07/13
- 08:00

大きな屋敷の玄関の表現 屋敷は外から見た以上に立派だった。門から玄関までのアプローチは長く、玄関のドアは大きく、ドアの向こうのエントランスは広かった。しかし中の空気は冷えていて、しばらく誰も生活していないことを窺わせた。東野圭吾さんの夜明けの街でより...