読書を趣味に ≫ 室内の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
漆喰の白い壁に、味のある焦茶色のフローリング
- 2022/07/03
- 08:04

平光さんが扉を開けると、照明がぎりぎりまでしぼられた薄暗い空間が広がっていた。漆喰の白い壁に、味のある焦茶色のフローリング。間隔を広めに取ったソファ席と、壁に向かう形でカウンター席が作られている。凪良ゆうさんの流浪の月より...
そして床に溜まった埃と毛髪
- 2022/06/11
- 13:19

玄関からでも内部の散らかり具合が分かる。脱げ捨てられたままの衣服、コンビニ弁当の容器、発泡酒の空き缶、ジャンクフードの欠片、箱から溢れたゴミ、何かの液体が凝固した跡、そして床に溜まった埃と毛髪。中山七里さんのヒポクラテスの憂鬱より...
赤坂の料亭のある。檜の柱は黒光りし、山水画のかかった床の間があり
- 2022/06/04
- 20:15

赤坂の料亭のある。檜の柱は黒光りし、山水画のかかった床の間があり、欄間には松竹梅が透かし彫りされ、漆仕上げの座卓を挟んでさくらと俺がいる。もちろん個室である。たった二人なのに十二畳という贅沢さだ。葉桜の季節に君を想うということより...
その柱は吹き抜けになった天井まで伸びていた
- 2022/05/15
- 18:01

リビングルームの床は板張りで、中央に木の皮をはいだだけの太い柱が立っている。その柱は吹き抜けになった天井まで伸びていた。 柱の横に大きな木製のテーブルがあり、藤間夫妻が向き合うように座った。部屋の一画はL字型のカウンターテーブルで囲まれたキッチンになっている。東野圭吾さんのレイクサイドより...
小さな卓袱台と茶箪笥があるだけの質素な部屋だった
- 2022/05/02
- 21:10
廊下を照らす蛍光灯は明滅を繰り返して今にも切れそうだ
- 2022/04/23
- 14:53

四階で降りると、フロアの薄暗さに戸惑った。共有スペースのメンテナンスが充分なされていないのか、廊下を照らす蛍光灯は明滅を繰り返して今にも切れそうだ。中山七里さんの死にゆく者の祈りより...
木製の列柱や尖頭アーチ窓などがが見える
- 2022/01/29
- 13:06
六畳の和室が目の前に現れた。壁際にはカラーボックスが二つと、小さな整理ダンスが一つ
- 2021/10/09
- 06:32

四つ並んだドアの一番端が、篠崎の部屋の入り口だった。崇史が中に入ると、埃と黴(かび)の臭いがした。かすかにカレーの匂いも混じっている。壁にしみついているのだろう。 雅美が蛍光灯のスイッチを入れた。六畳の和室が目の前に現れた。壁際にはカラーボックスが二つと、小さな整理ダンスが一つ。カラーボックスの上にはCDラジカセが置いてある。窓のそばに十四型のテレビ。その横には古い雑誌が積み上げられていた。一番上...
煮魚のような匂いと消毒液の匂い
- 2021/09/14
- 15:02

久美さんと私は、ワダカマの後に続いて施設の中へ入っていった。煮魚のような匂いと消毒液の匂い。老人ホームに足を踏み入れたのは初めてだったが、想像以上にわびしげな印象だった。原田マハさんの本日は、お日柄もよくより...
非常口を知らせる緑色の常夜灯と、火災報知器の赤いランプが暗い廊下に滲んでいる
- 2021/08/08
- 21:36
淡いベージュのカーテンが、ふわりと丸みを帯びて、風のかたちに揺れている
- 2021/06/14
- 22:16
そこからとなりの部屋の明かりが漏れ、ふとんの上に細長い筋を作っている
- 2021/06/13
- 07:39
歴史を経た腰壁は重厚に輝き、天井に列なる曇りガラスの淡い証明を移しこんでいた
- 2021/05/23
- 16:08

かつては理事や役員が使用していたという四階の廊下には、色こそくすんではいるが赤い絨毯が敷き詰められていた。歴史を経た腰壁は重厚に輝き、天井に列なる曇りガラスの淡い証明を移しこんでいた。しんと静まり返っているのは、ふんだんに使用された大理石材と、アルミサッシではない鋼鉄のはね上げ窓のせいだろう。浅田次郎さんのハッピーリタイアメントより...
絶妙なバランスでオブジェのように積み重なっている
- 2021/03/04
- 22:26

データ化なんて技術のない時代から十七年間蓄積された書類は、絶妙なバランスでオブジェのように積み重なっている。そのすべてを翌日までにシュレッダーにかけなければならなかった。原田マハさんのキネマの神様より...
しみだらけの天井から下がっている蛍光灯。古い箪笥がひとつ
- 2021/03/04
- 20:45

座椅子の前に古ぼけた卓袱台がある。卓袱台の向こう側にはカラーボックスが横置きにしてあり、その上にテレビが鎮座している。横にはDVDプレイヤーと、山と積まれたDVDケース。 しみだらけの天井から下がっている蛍光灯。古い箪笥がひとつ。引き出しに貼ってあるミッキーマウスのシールは、子供の頃の私の仕業だ。花柄の布が被せてある母のミシン。原田マハさんのキネマの神様より...