○○のおかげで人生が一段と楽しくなった ≫ 室内の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
四畳半と六畳の二間に小さい台所のついた、昔ながらの家作である
- 2021/01/07
- 18:32

差し入る冬の日に導かれるように、海老沢は縁側から上がりこんだ。四畳半と六畳の二間に小さい台所のついた、昔ながらの家作である。家具も調度品も、老人が生きて行くために不必要なものは何もなかった。茶箪笥と旧式テレビ。小さな座卓。それだけである。浅田次郎さんの日輪の遺産より...
非常灯の緑色の光だけが、磨き上げられた廊下を冷たく照らし出していた
- 2020/12/29
- 22:51

自動ドアをむりやりこじ開けて、二人は生暖かい病棟に入った。灯はすっかり消えており、非常灯の緑色の光だけが、磨き上げられた廊下を冷たく照らし出していた。 こだまする靴音に気がねしながら長い廊下を折れ曲がると、待合室に出た。浅田次郎さんの日輪の遺産より...
その台所を中心に、奥には母が寝起きする六畳間、右手には人生がろう城する四畳半、左手には申し訳程度の洗面所と風呂とトイレがある
- 2020/12/07
- 21:00

狭い台所には食器棚と冷蔵庫、カップ麺やスナック菓子が詰めこまれた段ボールが積み上げられ、人ひとりが立っているのがやっと、というようなありさまだ。その台所を中心に、奥には母が寝起きする六畳間、右手には人生がろう城する四畳半、左手には申し訳程度の洗面所と風呂とトイレがある。築年数不明のぼろアパートの一室だ。原田マハさんの生きるぼくらより...
積み上げられたDVDケース、空になったカップ麺の容器、スナック菓子の空き袋、丸めたティッシュ、脱ぎっぱなしの靴下
- 2020/12/07
- 21:00

積み上げられたDVDケース、空になったカップ麺の容器、スナック菓子の空き袋、丸めたティッシュ、脱ぎっぱなしの靴下、この世の中でもっとも無価値で役に立たないものの累積の中に、敷きっぱなしの布団。原田マハさんの生きるぼくらより...
部屋は眠れぬ街の虹色に染まっていた
- 2020/10/18
- 09:00
巨大なテーブルはクリーム色の大理石で、レースのクロスの上にクリスタル製の灰皿と煙草ケースが載っている
- 2020/09/20
- 21:00

巨大なテーブルはクリーム色の大理石で、レースのクロスの上にクリスタル製の灰皿と煙草ケースが載っている。壁に掛かっている風景画は、きっと高名な画家の手によるものだろう。棚に飾られている壺や茶碗には、手を触れないほうがよさそうだ。東野圭吾さんの危険なビーナス...
カーテンのレールに仕切られて、見える範囲はそれだけだ
- 2020/08/22
- 12:00

病室のベッドで横になっている表現 由紀が観念して眼を開ける。顔の前に何ひとつはばかるものはない。白いペンキで塗られた天井が上の方にあった。碁盤目に木枠が走り、窓際寄りに薄茶の染みができている。その形がどこか蓮の花に似ていた。カーテンのレールに仕切られて、見える範囲はそれだけだ。帚木蓬生さんの閉鎖病棟より...
革張りの茶色のソファがコの字に並んでいた。中央には、人力では到底動かせそうにない大理石の巨大なテープルが置かれていた
- 2020/07/13
- 08:00

屋敷のリビングの表現 僕は四十畳ぐらいありそうなリビングルームに通された。革張りの茶色のソファがコの字に並んでいた。中央には、人力では到底動かせそうにない大理石の巨大なテープルが置かれていた。彼女に勧められるまま、僕は三人掛けソファの真ん中に腰を下ろした。東野圭吾さんの夜明けの街でより...
門から玄関までのアプローチは長く、玄関のドアは大きく、ドアの向こうのエントランスは広かった
- 2020/07/13
- 08:00

大きな屋敷の玄関の表現 屋敷は外から見た以上に立派だった。門から玄関までのアプローチは長く、玄関のドアは大きく、ドアの向こうのエントランスは広かった。しかし中の空気は冷えていて、しばらく誰も生活していないことを窺わせた。東野圭吾さんの夜明けの街でより...
儲かっている弁護士の応接室の描写
- 2020/06/14
- 08:00

応接室に通された佐方は、部屋の中を見渡した。中央には応接セットが置かれ、壁には高額そうな絵画がかけられていた。備え付けの書棚には、法律関係の専門書がびっしりと並んでいる。かなり繁盛しているようだ。柚木裕子さんの最後の証人より...
中央に大理石の巨大なテーブルがあり、それを囲むように革張りのソファが並んでいた
- 2020/05/22
- 08:00

お金持ちの家の室内の描写 リビングルームは二十畳ほどもあった。ダイニングテーブルが見当たらないから、食事をする部屋は別にあるのだろう。中央に大理石の巨大なテーブルがあり、それを囲むように革張りのソファが並んでいた。直貴は勧められるまま、真ん中のソファに腰掛けた。東野圭吾さんの手紙より...
室内の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
- 2020/03/15
- 20:03

もとは和室だったのを洋風に改築したのだろう。書院造りの床の間はそのままだが、床はフローリングにしてあり、中央部分だけ薄緑色の絨毯が敷かれている。壁にはフラゴナールの「読書する少女」の絵画が飾られていた。本物のサイドボードの中には、長年に亘る暮らしの中で溜め込まれたと思われる、ありとあらゆるものが所狭しと無造作に置かれている。垣谷美雨さんの農ガール、農ライフより 薄いカーテンが閉まっており、淡く陽...