読書を趣味に ≫ 食べる、美味しい表現、描写を小説から学ぶ
本当に採れたての新鮮な牡蠣は、レモンを絞る必要もない
- 2022/05/14
- 09:04

細かく砕いた氷の上に、殻つきの生牡蠣がいくつも載せられている。少し小振りで真珠色に輝いているのが気仙沼産、大振りで瑞々しい透明感があるのが広島産だと説明を受けた。麗羅は牡蠣用の小型のフォークを手に取ると、気仙沼産から口に入れた。本当に採れたての新鮮な牡蠣は、レモンを絞る必要もない。古内一絵さんのキネマトグラフィカより...
舌の上でほろりと崩れるミートローフは、砕いたナッツが香ばしい
- 2022/05/08
- 11:12

「うめっ、これまじに美味いや!」 麗羅が切り分けたコテージパイを口にするなり、和也が感激する。咲子も焦げ目のついたマッシュポテトを口に運んだ。 バター風味の効いたマッシュポテトは、口当たりは滑らかだがどっしりとした旨みがあり、舌の上でほろりと崩れるミートローフは、砕いたナッツが香ばしい。オリーブが残す独特の風味は、ビールにも合うはずだ。古内一絵さんのキネマトグラフィカより...
黄金色のマッシュポテトの下から、こんがりと焼き上がったミートローフが顔を覗かせた
- 2022/05/08
- 09:37
しっとりと煮詰められたりんごの優しい甘みが口の中に広がる
- 2022/03/16
- 19:53
つやつや光るパイ生地から香ばしいバターの香りが漂っている
- 2022/03/16
- 19:50
具材全部に優しいだしの味が染みて、米粒からもきのこの香りが漂う
- 2022/03/14
- 21:08

きのことあげとひじきが入ったご飯。具材全部に優しいだしの味が染みて、米粒からもきのこの香りが漂う。そんな中にねぎのシャキシャキとした新鮮な歯触りが、いいアクセントになっている。瀬尾まいこさんのそして、バトンは渡されたより...
焼いたタマゴの甘さとケチャップの酸っぱさが口中一杯に広がる
- 2022/01/22
- 18:46

店の駐車場が広かったので、利根は車止めに腰を下ろしてオムライスの蓋を開けた。店員の「温めましょうか」という問い掛けに一にも二もなく頷いてしまったが、容器の底から伝わる熱が、今は有難いと思えた。 ひと口頬張ると、焼いたタマゴの甘さとケチャップの酸っぱさが口中一杯に広がる。中山七里さんの護れなかった者たちへより...
中からふくらはぎほどもありそうなみずみずしい大根が現れて
- 2022/01/13
- 21:42

「そがに思うて、ほれ、特別におっ母が作っとる畑で採れた大根、持ってきたがね」 新聞紙の包みを差し出した。中からふくらはぎほどもありそうなみずみずしい大根が現れて、「うわあ」と紫紋は歓声を上げた。原田マハさんのまぐだら屋のマリアより...
熱い汁をすする音、浅漬けを噛む音、やわらかな鮭のたたきをおごそかに口に運んで
- 2022/01/13
- 20:28
体の隅々まで、煮魚の甘辛い味が、ほくほくとしたご飯のぬくもりがいきわたり
- 2022/01/12
- 19:35

紫紋は両手を腹の上に置いて、椅子の背にのけぞって天井を仰いだ。頭の中が真っ白だった。体の隅々まで、煮魚の甘辛い味が、ほくほくとしたご飯のぬくもりがいきわたり、痺れるような幸福感が満たしていた。原田マハさんのまぐだら屋のマリアより...
くつくつと煮える鍋のあぶくの音が、その声に重なる
- 2022/01/12
- 19:28

「いらっしゃい」 明るい声がした。くつくつと煮える鍋のあぶくの音が、その声に重なる。「開店まえでたいしたものはないけど……何食べたい?」 それが、出会って最初のマリアの言葉だった。原田マハさんのまぐだら屋のマリアより...
ロメインレタスの葉をしゃくしゃくと噛み締めた
- 2021/08/11
- 21:16
すっとした鼻に抜ける爽やかな感覚と、口内いっぱいに広がる濃厚な甘さが両立している
- 2021/07/08
- 07:40

カオリも遅れてイチジクを口にする。 すっとした鼻に抜ける爽やかな感覚と、口内いっぱいに広がる濃厚な甘さが両立している。「シナモンですね?」「シナモンと、それからカルダモンも少し入れています」森晶麿さんのかぜまち美術館の謎便りより...
じゅっと煮汁が染み出した。こっくりと甘く煮ふくめられた油揚げ、硬めに炊かれたすし飯がほろりと崩れていく
- 2021/06/16
- 21:33

しっとりと輝く褐色のお稲荷さんが、九個仲良く鎮座していた。「美味しそう」 思わず唾を飲みこむ。急に空腹を感じた。「いただきます」 洗っていない手で一個つかみ取ると、口を大きく開けて頬張った。いつもなら考えられない行動だが、躊躇はない。 じゅっと煮汁が染み出した。こっくりと甘く煮ふくめられた油揚げ、硬めに炊かれたすし飯がほろりと崩れていく。柚木麻子さんのあまからカルテットより...